山行記録/個人山行/2017-01-07/八ヶ岳赤岳主稜

Last-modified: 2017-02-07 (火) 22:56:49 (383d)
山域八ヶ岳赤岳主稜 雪稜
日程2017年1月7日
メンバーたまきちリーダー、Kさん、A(新人)

レポート

■赤岳主稜 三連休初日の1月7日、たまきちリーダーにお供させて頂き、赤岳主稜に行ってきました。 今回は美濃戸口から入り、赤岳主稜を登り美濃戸口に戻るという計画で、メンバーは、たまきちリーダーとKさんと私(A)の3人。 同期のMさんは赤岳へ行く計画で、途中まで一緒に歩きました。 初めての雪稜は想像以上に大変な内容となりました。

1.JPG

※写真1「行者小屋を目指して」

朝6時30頃、美濃戸口からヘッデンを付けて歩き始め。吐く息は白く、鼻は感覚が無くなりそうなほど冷たいけれど、体はとても暑く汗をかきました。美濃戸に到着する頃には、ヘッデンが要らない位の明るさになっていました。少し歩くと南沢北沢の分岐点になり、私達は南沢ルートに入りました。 冬季に南沢のルートを歩くのは初めてでした。南沢からのルートは石がゴツゴツし、その上に氷が張ったりして歩き難い。しかし南沢を歩きながら"きっと赤岳主稜に比べたら、平坦な道を歩いているものなのだろう"、"また今日中にこの道を下山しているという想像が全くつかないけれど…"、色々な事を考えながら歩いていました。

考えない方がいいような事ばかりを考えていたら、あっという間に行者小屋に到着。厳しい環境が待っている稜線、そこに入る前のオアシス的存在の行者小屋。稜線に入る前に、ここで一旦装備を整えました。 バラクラバを被り、12本爪アイゼンを装着し、ピッケルを持つ。この装備に切り替えると、いつも気持ちが引き締まります。 ここから気を引き締めて文三郎の稜線へと向かいました。

雪の付いた文三郎は、夏に比べて更に急峻に感じ、重りを付けたような両足を一歩一歩引き上げて、苦しい表情を隠せないまま尾根を上がり、ようやく主稜取り付きのトラバース地点へ到着しました。2本のダブルロープを出し、左手にピッケル、右手にバイル。いよいよ戦闘体勢、といった格好になりました。

たまきちリーダーは2本のロープを引っ張り、アックスとアイゼンを打ち込みながら、凄い早さで主稜の取り付きポイントへとトラバースしていきました。一方、準備にモタ付いてしまった新人隊員は、たまきちリーダーのロープをいっぱいにしてしまい、とても危険なトラバース途中なのに、たまきちリーダーの足を停めてしまったので、兎に角急がなければと飛び込むようにトラバースに突入しました。

勢い良く入ったは良いものの、馴れないカニ歩きのロングトラバースは一気に体力を消耗、息を切らしながら何とか取り付きポイントまで辿り着きました。まだ主稜に取り付いてもいないというのに、ほんの少しの距離なのに体力の消耗が激しく心配になりました。

2.JPG

※写真2「文三郎尾根から主稜取付迄のトラバース」

主稜取り付きに到着し、セルフビレイを取り、一呼吸置いてから上を見上げると、少し前傾しているようにも見えてしまう1ピッチ目の核心ルートがありました。(実際は前傾していないはずなのですが、恐怖心からそう見えてしまったのだと思います…) すぐに、たまきちリーダーが手慣れた動作で登って行きました。少ししてから登っていいとの合図を受けて、二番手の私が取り付きました。

4.JPG

※写真4「ルートを確認するたまきちリーダー」

"素手とクライミングシューズなら越えられそうだけど、今の格好で登る事が出来るかな…" 最初の岩二段位までは上手く乗り上げたと思ったものの、冬装備のせいか、次の足が上手く上がらず、手袋の中で手が滑り、手を突っ込んだガバは氷が張っていたりと、ほんの数十秒の間に予期せぬ事態が次々と起こり、あっという間に腕がパンプし、そして「あっ…」と思った瞬間、怖さを感じる間もなく墜落してしまいました。 この時、パンプした腕の回復に時間が掛かりそうなため、Kさんに先を譲りました。

3.JPG

※写真3「赤岳主稜スタート地点からの文三郎尾根」

Kさんは壁を上手く乗り越えて、乗り越えた先の氷斜面にすかさずバイルを打ち込んで、スムーズに登って行きました。 私もすぐにバイルを取り出せるように準備をし、Kさんのムーブを真似してリトライ。 今度はバイルを打ち込む所まで乗り上げられました。次は左のピッケルを出さねば…、もたもたしているうちに右手の握力が、みるみるうちに無くなっていきました。 "二度墜落したら腕が持たないかもしれない、時間も掛かってしまうぞ"という気持ちがあったので、今度は絶対に落ちたくない。 上からは「ガンバー!」と掛け声がする。 自分でも"がんばれー!絶対に落ちるなよ!"と心の中で叫びました。左腰から抜いたピッケルを氷に打ち込み、何とか持ち堪えました。後はピッケルとバイルを交互に効かせ、爪先立ちで登るだけ。とは言っても、馴れない動作、筋肉も疲労いっぱい、プルプルと震えながら、たまきちリーダーの元へ。

5.JPG

※写真5「陽の光が当たり暖かくなってきた八ヶ岳」

6.JPG

※写真6「緊張感とは裏腹な陽気、幸せな太陽の光射す」

この後、上部岩壁手前のピッチまでは、難しい場所は無く通過。急峻な稜線での爪先立ちとバイル打ち込みで、筋肉疲労が激しく時間はかかったものの、無事たまきちリーダーの元へ辿り着く事が出来ました。

9.JPG

※写真9「締まった雪、時々氷」

12.JPG

※写真12「中岳と阿弥陀岳」

11.JPG

※写真11「リードのたまきちさんと、ビレイのKさん」

そして遂に"2つめの核心"と言われている上部岩壁のピッチへと突入。たまきちリーダーのスムーズに登っている様子は、ロープの動きから分かりました。この核心ピッチではKさんが2番手に行くことになりました。Kさんが登り初めてすぐ、"ここ難しいかも!"との声が聞こえました。 私も少し距離を開けた後に取り付きましたが、確かに難しく、どう上がろうか途中で迷ってしまい、そして少し足上げに苦労したポイントで、腕が耐えられず、本日2回目の墜落。あっという間の出来事でした。"きっと焦っているだけだ"と思うようにし、再度気持ちを落ち着かせて、岩を良く見てルートを考えてからのリトライ。このタイミングで、2度目の墜落をしたという事実から恐怖心が出てしまい、足はミシンを踏み、アイゼンと岩がぶつかり合う音が微かに響いてきました。 "落ち着け落ち着け…"と数秒間、気持ちを落ち着かせてからトライし、2回目はスムーズに越える事が出来ました。

20.JPG

※写真20「まだ雪は少なめで、核心は岩の露出が多かった」

難関を越えてホッとしたのも束の間、実はこの先に更に難しい岩場が待っていたのでした。 先を見るとKさんが、そこを越えるのに苦戦している様子が見えました。 "あんなにKさんが苦労している場所で、私に越えられるだろうか…" Kさんが越えた後、私も続いて登りました。 手足の効く岩と岩との間で休み休み、最後の力を振り絞り乗り越えた時には、落ちるか落ちないか…、落ちるか…、と本当にギリギリの状態で乗り上げたため怖かったです。

10.JPG

※写真10「落ち着ける場所から後を振り返り」

無事に2つの核心を越え、残りのピッチはスタカットで、最終ピッチはコンテで、足元に気を付けながら登りました。最後は登山道とぶつかり、赤岳頂上山荘前へ到着。 無事に着いた安心感、そして疲労感もあったため、たまきちリーダーの前で二人とも倒れこみました。

16.JPG

※写真16「山頂に到着すると風が強くなっていた」

17.JPG

※写真17「数分間の山頂で登頂の喜びを噛み締める」

到着した時間帯の稜線上は流石に風が強く、時間も押していたため、すぐにロープをしまい、山頂で写真撮影をした後、文三郎尾根で下山開始。

18.JPG

※写真18「下山開始!」

文三郎尾根を下りている最中、後ろを振り返ると、深い青を背景にし、月を従えた八ヶ岳連峰の美しい姿がありました。とても幻想的で、歩いては振り返り、歩いては振り返りました。

21.JPG

※写真21「白く浮かぶ八ヶ岳連峰」

最後は久々のヘッデン山行となりましたが、全員無事に美濃戸口に到着しました。 久々にハードで緊張感の高い内容で大変でしたが、とても充実していて楽しい時間を過ごすことが出来ました。 たまきちリーダー、オールリードお疲れ様でした。そして、貴重な経験をさせて頂きましてありがとうございました。 もっと成長しなければならないと思える山行内容で、今後の自分のためになる山行となりました。

美濃戸口→南沢→行者小屋→文三郎尾根→赤岳主稜→文三郎尾根→行者小屋→南沢→美濃戸口

8.JPG

※写真8「おつかれさまでした」

レポート:A(新人)


添付ファイル: file10.JPG 41件 [詳細] file15.JPG 36件 [詳細] file8.JPG 35件 [詳細] file21.JPG 39件 [詳細] file18.JPG 40件 [詳細] file17.JPG 36件 [詳細] file16.JPG 39件 [詳細] file20.JPG 38件 [詳細] file11.JPG 36件 [詳細] file12.JPG 36件 [詳細] file9.JPG 37件 [詳細] file6.JPG 39件 [詳細] file5.JPG 39件 [詳細] file3.JPG 38件 [詳細] file4.JPG 35件 [詳細] file2.JPG 37件 [詳細] file1.JPG 39件 [詳細]