山行記録/個人山行/2009-09-18/北アルプス・雲の平〜双六岳〜北穂高岳

Last-modified: 2010-03-16 (火) 23:25:15 (3137d)
山域北アルプス・雲の平〜双六岳〜北穂高岳
日程2009年 9月 18日〜 9月 21日
メンバーL.まるこ、まるお

9/18 折立8:10 → 太郎平小屋 → 薬師沢小屋13:30 → 雲の平キャンプ場17:10 9/19 雲の平キャンプ場6:00 → 日本庭園往復7:00 → 祖父岳 → 鷲羽岳10:10 →  三俣山荘 → 巻き道 → 双六キャンプ場14:00 9/20 双六キャンプ場5:00 → 槍ヶ岳9:45 → 南岳13:00 9/21 南岳5:00 → 北穂7:40 → 涸沢10:20 → 横尾12:00 → 上高地14:50

 9/18 混雑を避けるため、シルバーウィークを1日早く出発、そして初日にがんばって雲の平へ抜ける。これがよかった。富山から折立へのバスは一台で、乗客は8割程。4日目に北穂からの下山を開始するまで、静かな山を楽しめた。

折立からコースタイムどおりに歩くとテンバにつくまでに暗くなるから、のっけからせっせと歩く。もっとも太郎平までの登りのコースタイムは大甘だからその分は割り引いて考えられる。 折立からの登りは前後する人が多いのと、慣れぬ大荷物のせいで自分のペースがつかめない。あたりが開けてくると傾斜がゆるくなり、とても歩きやすくなる。

行く手には薄い雲がかかるが、連日晴れの天気予報だ。次第に空が明るくなり青空が出てくる。雲の造詣が美しい。太郎平って明るい、薬師岳がかっこいい。昨年はガスのなかにこのような風景が隠されていたのか。 太郎平から薬師沢へ下り始めると、登山道を整備している人たちがいる。そこを過ぎるともう、小屋とテンバ以外では人に会うことがない。自然の匂いと音だけがある。この下りは、去年まるおが靴のソール剥離に見舞われた思い出の場所である。対岸には雲の平への急斜面が見えて、これだけは見えるほうが憂鬱。 谷底の薬師沢小屋は入り口の脇に水を流しており、冷たくてとてもおいしい。担ぎ上げたいところだが、これからの登りを考えて断念。 目の前の怖いつり橋を渡り、今日のトドメの登りにかかる。空が明るく梢の間には薬師が望めて気持ちよい。岩だって滑らない。天気がいいってすばらしい。 案外順調に開けた高台に上がる。さらに歩いてアラスカ庭園に到着。明るいうちにテントを張る目処が立った。あとはゆっくり楽しみながら歩ける。近くの山々の間には槍や穂高がちらりと見え隠れする。小屋の手前でまるおがキツネを発見。キツネはひらりと踊りあがって一瞬で岩陰にかくれた。辺り一面に綿毛になったチングルマの群生があって、夕日を浴びて白く輝く。花の時期も圧巻であろう、けど今が一番の見ごろにちがいない。 雲の平山荘は今年の9月から来年のお盆まで工事中。小屋は解体されていて、仮設小屋でテンバの受付のみをしている。

私の靴は今回が3回目の山行となる、LA SPORTIVAのTRANGO S EVO GTX WOMAN。両足で1250gとうたわれているが、サイズが大きいせいか実際は両足で1400g位。軽量、ハイカット、硬派のソール、アイゼンOK、雪山ハイクOK。加えて、日本ではちょっとめずらしい甲薄の足型で、かつてないフィット感がうれしい。 だが普段歩いていないところにいきなり長丁場だったので、さすがに軽い靴ずれができた。優れもののJ&J「マメ・靴づれブロック」で早期発見早期解決。

雲の平には今夜は計4張りのテント。SWの山は混まないのかな?と幸せな勘違いをする。テントを張っている間に急激に体が冷えてしまい、やっとの思いで引っ張り出したシュラフをかぶって倒れこむ。疲労凍死の前兆はこんなかんじだろうか。お茶を沸かしてもらい、30分くらい休んでようやく動けるようになる。 今日はずっと急ぎ足だった。とどっと疲れが出て食後すぐに就寝。

 9/19 明け方の冷え込みは厳しく、去年の比ではない。風が強いのは、明日にかけて強い台風が太平洋側を通過するから。でも天気は上々。今日は唯一の休養日で、コースタイム6時間ちょいの行程。6時ごろにのんびり出発する。前日の疲れをひきずって、朝からよれよれである。 分岐に荷物を置いて日本庭園まで寄り道してみたが、裸地がおおくて残念。ほかに人はいないが、花の時期には多くの人が入るのだろう。 祖父岳からいったん下りてワリモ北分岐で休憩する。ここら辺から、時折人とすれ違うようになる。さてこの先を、いったことのない黒部源流経由にするか、去年ガスの中を登った鷲羽経由にするか、しばし逡巡。しかしこの好天だ、眺望を求めて鷲羽に登る。トウヤクリンドウはつぼみしか見たことがない。強風に吹かれて綿毛のチングルマがプルプルふるえるのがいじらしい。 鷲羽山の山頂で、白山が見えると単独の人におしえてもらう。眼下の黒部源流経由のコースはなだらかな斜面が広がり、ぽつぽつと赤く紅葉した木がみえて気持ちよさそう。ガラガラの登山道を下ると、三俣蓮華のテンバには昼にもかかわらずすでにテントが8張程張られている。 三俣蓮華まではほんの少しの登り。だが昨日の疲れに負けて迂回ルートを取る。開けた沢のような場所が実に気持ちがよく大休止。更にすすむと地図の水場マークのところだろうか、沢の音が結構はっきり聞こえる。登山道からは水が見当たらないので、少し下ると水が得られるのだろう。 北鎌の眺めや紅葉を楽しむうちに双六のテンバに到着。小屋のお嬢さんに話を聞くと、「一つの布団に×人」の張り紙を指差し、こんなの出すの初めてです、お盆以上の混雑です、とのこと。続々と人が連なってくるのが見える。にぎやかにおしゃべりしている人もいれば、人にリュックを持ってもらってやっと歩いている人、さまざま。昼寝したり写真を撮ったりして休養。夕方にはあらゆる空間にテントが犇いた。早く到着していてよかった。夕飯にハンバーグを食べて、早めに就寝。

 9/20 今朝は寒さを感じない。朝からランダムに強風が吹き荒れる。お湯を沸かしていたら、テントが突風にバンとあおられてガスが転倒、600ccくらいこぼれた。予定通り5時に出発。数パーティーが4:30くらいに出発して三俣方面へ向かったようだがほとんどのパーティーはまだ行動を開始していない。ヘッデンをつけて歩き出すと30分もしないうちに明るんでくる。槍への道はアップダウンが少なく楽ちん。2,3パーティーとたまに前後する程度で、小屋の混雑振りが嘘のように静か。右手の雲海が上がってくるかと思ったが静かに谷あいにとどまる。硫黄尾根は取り付くしまもなく切り立ち、これを登ろうと思う人がいるとは驚き。槍の肩への最後の登りは予想に反してとても歩きやすい。ここまでずっとかっこいい槍を眺めて歩いてきたが、肩から見ると槍はとんがりコーンみたいで、かっこよくない。とんがりコーンに人がたくさん張り付いているのをみて、登る気が萎える。しかしいちどは槍に登っておかねばなるまい。まるおによると、これくらいなら混んでいないそうだ。 取り付いてみると、登りと下りは道が分かれおり、つかえつかえながらもあまり待たさない。山登りというより、ほとんどはしご登り。山頂にはしかし、人が文字通り林立している。祠と写真をとろうという人が次々にがんばっていて、北側を覗きたくとも隙がない。とおもったらさっと人が引いた。体が冷えてきたので自分も降りる。下りもハシゴ責め。 さて南岳はまだとおい。目の前に続く稜線は南アルプス南部みたいになだらかな地形で、のんびり歩けそうなのがうれしい。まったりしたピークをいくつか越える。ここのまったり地形と対照的な、穂高の鋭利な稜線がその先に続いている。 南岳のテンバには13時に到着。がんばった。西鎌尾根が案外緩やかで、覚悟していたよりは楽であった。テンバはこじんまりとしてひっそりしている。そう、静かにすごすべくここを3日目のテンバに選んだのだ。石垣の内側にテントを張り、石垣の外側でお茶をする。朝ぬらした寝袋を干し、サラミを干す。うっかり日焼けをしてしまった。 宴会していてふと気がつくとテンバが超満員。我がテントの斜め横、そこはテントを張れるような空間ではなかったような。夕方には草むらや小屋の前やトイレの脇数センチのところにまで、テント村が拡大していた。

 9/21 南岳のテンバを、今日も5時にヘッデンをつけて出発。すぐに急な下りとなり、キレットのヘッデン歩行は心もとない。他に人がいないからマイペースで歩く。すぐに空が明るくなり、やがて東側が濃い濃いオレンジ色に染まる。平らな空間で荷物を降ろし、オレンジになった世界を楽しむ。そういえば朝焼けをまともに見るのはずいぶん久しぶり。 最低鞍部辺りで後ろを振り返ると、ずっと後方の斜面に多くの人が連なっている。後ろの人たちは歩くのが早そうで、じきに追いつかれそうだ。登りに差し掛かかって間もなく、逆コース最初の登山者とすれ違う。人が後ろに見えるとなんとなく焦ってしまい、嫌な場所で一瞬ルート取りを誤り、まるに指摘される。とほほー。 登山道には鎖、ステップ、すのこ?まで設置してくれていている。歩きの合間にぽつりぽつりと嫌な箇所が現れる感じ。ちょっと力を使ってしまったのは私だけだろうか。焦ってスタンスをよく見ていないせいだろうか?嫌な箇所では100%本気である。しかし緊張する箇所がごく断片的で、緊張が続かない点は気楽。人がちょっと増えたらたちまち大渋滞するのは間違いなさそうだ。整備されていなかったら、果たしてロープなしでいけるのかなあ? 先行するまるは、逆コースの人とすれ違う度に「早いですね、何時にでてきたんですか」と聞かれている。 すれ違った逆コース組は全部で8組ほどで、ほとんど遅滞なし。しかし北穂山荘直下、ルンゼ状の長い鎖場にして本日最後の悪場では、反対側から下ってきた3人連れのうち一人が実に初々しい初心者で牛歩戦術に突入。ルンゼ下で待つ私の後ろに人々が追いつき、のぼり側が大渋滞。登ってみると、鎖が動くだけで小さい落石が起きる場所だった。リーダーにしっかり誘導してもらいたいものだ。 鎖を上がってしまえばもう山小屋が近くに見える。ずっと後続に抜かれる場所を見計らっていた私だが、いまさら抜かれるのが急に馬鹿馬鹿しくおもえ、すっかり疲弊している大腿筋?に鞭打って、まるおに続いて山小屋に到着する。一番乗りしても別に何もないけど。 大賑わいの北穂山荘で大休止の後、いよいよ下山開始。ここにきて私達はSWの本当の姿を知った。登ってくる人たちがほとんど途切れないので、待つばかりで一向に下れない。北穂を7:40にでて涸沢についたのは10時過ぎ。ここまでの3日半はコースタイムより短い時間で歩いてきたが、ここではコースタイムを一時間近くオーバーした。登ってきたおじさんから、鎖場ではストックをしまわないと危ない、と再三言われる。確かにストックは邪魔だけど、ここは最後の鎖場。これからようやくストックの出番に違いなく、そうですねえと聞き流す。それより早く登って行ってほしいのである。まるが鎖場を下りているとき、やっぱりすれ違いのおじさんに、ストックを持ってあげようか、といわれたそうで、妙に家庭的な雰囲気の北穂である。 傾斜が緩んだあたりに下りると、ぱたりと登りの人が途絶える。朝一で涸沢から北穂へ登る人たちのラッシュが一段落したのだろう。まるは渋滞の隙を縫って脱兎のごとく去ってしまっており、蜃気楼のように遠くに見え隠れする。追いかけたいところだが、ストックの助けを得ても早くは歩けない。北穂からずっと日にさらされていたために熱中症気味になったのか、朦朧とする。食欲がない。 涸沢の石畳であろうことか大コケしつつも山荘に到着、まるおと合流。お約束のソフトクリームを食べたら、体が冷めたか元気復活。 まるおは北穂からこっちの人の多さにすっかり嫌気がさしており、今日中に帰るという。つまり上高地まで全力歩行ですか。横尾に近づくと紫のかわいらしい花がたくさん咲いている。うちのベランダで儚くお亡くなりになったブルーデイジーを思い出す。徳沢着は12:50であった。前夜のうちあわせでは徳沢着が12時を過ぎたら徳沢に泊まって翌朝帰ることになっていたが、まるおはしらんぷりである。コースタイムどおりに歩くのもつらい。明神でりんごを食べて癒やす。 15時の上高地は観光地にふさわしく混雑している。タクシーやバスまちの大行列最後尾で、係員さんが最後尾の案内などをしている。道が混んでいてバスが上高地へ入ってこれないらしい。観光案内所で聞くと外来入浴は全て終わったとのこと、絶体絶命。かと思いきやコインシャワーがあるとのこと。よかった・・・・。シャワーまちは10分ほどであっただろうか。 ここで4日間の疲労が判断を狂わせた。上高地の大混雑振りを見て、バスでなく電車で帰ろう、と打ち合わせていたにもかかわらず。シャワーを使い16時発新宿行きのバスに乗ればちょうどいい、と短絡的に結論を出したのだ。バスは釜トンネルを出ても亀の歩みを続ける。通常は沢渡で大型バスに乗り換えるが、渋滞で大型バスが沢渡にたどり着けないので新島々での乗り換えになる、というバスの案内を聞いて、すっかり我に返る。おかしい、いつのまにか高速バスに乗っている。 バスの人が「みなさん今日中に帰らなくても大丈夫ですよね」とのたまう。払い戻しはできないといわれては一蓮托生。それでも女性が一人、途中の小さな駅で下車した。 新宿から山手線の最終電車で池袋に移動したあとは、もう電車はない。始発がでるまでの数時間、池袋でネットカフェデビューをする。ネットカフェはシンプルながら仮眠しやすいように考えられていて感心する。しかし如何せん空気が悪くて一睡もできない。やむなく漫画を徹夜で読んだ。