山行記録/個人山行/2008-12-19/赤岳天狗尾根

Last-modified: 2010-03-16 (火) 23:25:01 (3190d)
山域八ヶ岳・赤岳 天狗尾根
日程2008年 12月 19日 - 12月 21日
メンバーL.こーさか、ゆかたけ

コースタイム

12/19 美し森駐車場(16:41)→(19:30)出合小屋 快晴
12/20 出合小屋(06:50)→(07:14)天狗尾根取り付き→(11:00)カニのツメ(11:25)→(15:10)大天狗基部→(16:30)主稜線→(17時頃)幕営 快晴 強風
12/21 幕営地(07:28)→(08:05)真教寺尾根分岐(08:15)→(13:22)美し森駐車場 快晴後曇り 強風

記録:

12/19 昼間の都内を走り慣れないもので西国分寺駅集合に30分くらい遅れる。なんとか明るいうちに美し森駐車場に到着することが出来た。なにしろ雪が無い。ワカンは車に残置して夕闇迫る林道を歩き始める。
道が細くなり、沢に降りてもヘッ電灯して薄いトレースと目印を拾いながら、沢から離れないように歩き続ける。ルートが曲がっているのでコンパスはあまり役に立たず、出合小屋まで行ったことのあるゆかたけさんの記憶が頼りだ。渡渉の度に左手に小屋がないかチェックするが、そんなことを何度か繰り返すとLEDライトの先にぼんやりと人工物が見えた。諦めかけた頃だったので嬉しい。平日とあって小屋は貸切。水が沢から汲めたのでガスの節約になる。2日後には強風の予想だったので、明日は絶対に抜ける。

12/20 テントの撤収が無いにも関わらず、手際が悪く出発が7時近くになってしまった。豊富な目印を追って沢を詰め、やたらとテープが付けられたあたりで左手の尾根に土の露出したルートらしきものが見えた。これを一度やり過ごすも、目印が途絶えたので戻ってここから取り付くことに。

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天狗尾根への取り付き

傾斜はキツくないがいやらしい土壁に結構てこずる。それも20分足らずで普通のヤブ漕ぎになり、落ちない安心感と引換の木の枝潜りになる。

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カニのツメ。ここで登攀装備の準備。

カニのツメ到着は11:00。ここで美し森を朝発の後続3人Pが追いついて来て、アイゼン、ハーネスを付けている我々を追い抜いて行った。彼らを追ってカニのツメを左から巻き、フィックスの張ってあるトラバース+ルンゼで先に行かせて貰った。難しそうで無かったのでフィックスにデイジーを通しただけで僕が先行する。トラバースが終わってルンゼの登りで一歩が上がれず、逡巡の後にフィックスをゴボウで越えた。後続のゆかたけさんは草付きにアックスが効いて問題無かったとのこと。このルンゼ、落ちると洒落にならないことに登りながら気がついた。登りきってから立ち木を支点にしてロープを出し、ゆかたけさんを確保。先が見えないところは慎重に行かねばと反省。

大天狗手前の岩稜を左のバンドから後ろに回り、その先で稜上に戻るところで先行の僕が躊躇。体ひとつ分を上げればいいのだけれど、確保無しだと嫌だと思った。支点になるものが見当たらず、試しに右の凹角を詰めると残置ハーケンが見つかった。これをそのまま上がるのは壁が立っていて難しいので、スリング2本を繋いでからクライムダウンしてセルフを取り、最初に取り付いた左のルートをゆかたけさんにリードして貰った。この間に後続はお助けを交えつつ抜いて行く。「落ちないでねー」のコールともお願いとも取れる言葉に従って登ると、盆栽の世話をしているようなビレイヤーが居た。落ちなくて良かった。

mae-tengu.jpg

この壁を左から巻いた先でちょっと躊躇、ロープを出した。

続く大天狗への取り付き。右から回るところで念のためロープを出し、先行が取り付いているところまで進む。

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大天狗右巻きルートの先行P。既にバンドトラバースに入っている。

鮮やかな残置スリングの垂れているところを登っているが、遠目には難しそう。さらに右側に古いスリングがあるけれど、いま一つ上に繋がらない感じ。先行のラストを見送り、作戦会議。

ゆかたけさん:「こーさかさん、リーダーでしょ」
こーさか:「じゃ、リーダー判断でリードはゆかたけさんお願い」

確保支点はしっかりしてるから〜と見送って、先行と同じルート取りをしたらいい感じらしい。そのまま抜けて僕の番。気温が高いので素手になってしまう。残置スリングに掛けたランナーを回収すると、あとはトラバース。落ちたら振られるとの思いが走るけれど、バンドへ上がるのもホールドがしっかりしていて見た目ほど難しくない。むしろその後のトラバースで、スタンスはいいのだけれどホールドが全て八ヶ岳仕様のオール浮き石に思えて怖い。なんとかバランスを取ってビレイ点に到達。やれやれ。

後は小天狗を処理して終わり!っても主稜線が近くなって風が出てきた。左から巻くときに降りすぎそうになるのを修正しつつ先に進む。強風の為に先行のトレースは既に消え掛けている。

kotengu.jpg

夕日に映える小天狗。あまり見たくない美しさ。

sunset.jpg

夕日に映えるクライマー、Y。見てはいけない、写真撮ってる場合違う。

雲ひとつない夕焼けに映える南アルプスと、予報通り(20m/s)の強風に迎えられて天狗尾根を抜けた。
さて帰路はどうするか。先行は予定通りキレットに向かったが、途中のルンゼをこの風で抜ける自信が無かった。強風を凌ぐため、展望荘の陰にテントを張るべく赤岳山頂を目指す。ヘッ電灯して歩くとゆかたけさんが岩陰でのビバークを提案。その先は山頂越えまで平坦地はなさそうなので、ここでテントを張ることにする。雲ひとつない夜景が美しい - ただ風が恐ろしい。

12/21

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主稜線上のテン場。この岩が無いと風が強烈。

疲れとルートを抜けた安心感から起床は遅れた。慌てて携帯で天気予報を確認すると、風はどんどん酷くなるよう。

ゆかたけさん:「明日には(風が)弱くなるのかなー」
こーさか:「ありえません」

予報では明日には30m/sオーバーで停滞すら不可。朝飯を抜いてテントを畳み、とにかく安全地帯に抜ける。
文三郎での下山を目論んで赤岳山頂を目指すも、ゆかたけさんから真教寺尾根の提案が。自分は歩いたことは無かったけれど、彼女は秋に歩いている。上部岩稜に鎖場があるとのことで、ルート未経験のリーダは一度は却下し赤岳への梯子に手を掛けた途端「真教寺尾根♪」、西面に吹く西風の強さにあっさり翻意。
危険が確定している文三郎よりよく分からん真教寺尾根に入る。ヤバかったらロープで懸垂との覚悟だったけれど、鎖はあるし、鎖が埋もれている所は雪が効くので降りることが出来た。何より風が遮られて助かる。中盤の樹林からは天狗尾根には無かった膝上ラッセルまで楽しめて、前日からの筋肉酷使でヘロヘロになりながらも無事に駐車場に到着。振り返れば暗雲に覆われた赤岳、あー帰ってこれて良かった。(こーさか)

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赤岳に向かう途中、背後に天狗尾根



課題は沢山ある。

1. ロープワークが遅い。支点形成や回収が遅い。雪山で練習している場合では無い。
2. 先の見えないルートでノーザイルは良くない。結果的に登れたから良かったけれどヒヤヒヤ。
3. 朝の支度が遅い。特に遅い二人だけれど、12/20、4:30起床の6:50出発は酷い。明るくなるのを待つにしても支度を終えて待つべき。
4. ザックのパッキングとヘルメットの干渉の具合を考える。上が見えないと辛い。
5. 撤退のポイント、方法は具体的に決めておくべき。今回は主稜線抜けだけしか頭に無かった。
6. 夏道でも歩いておくもんだねー。真教寺尾根には助けられた。