山行記録/個人山行/2007-03-10/旭岳東稜(敗退)

Last-modified: 2010-03-16 (火) 23:24:42 (2958d)
山域八ヶ岳・旭岳東稜
日程2007年 3月 10日 - 3月 11日
メンバーL. AO, TT

コースタイム

3/10 7:00美しの森→9:30出合小屋/10:10→10:45東稜上→11:20頃小ギャップ→11:40頃約2200m(昨年のテンバ)→12:50頃雪壁直下→14:45頃五段ノ宮基部(泊)

3/11 3:30起床/7:00行動開始→撤退決定8:10頃→出合小屋着12:45/13:30→美しの森着14:58

天候: 3/10晴れ後、夕方から曇り・夜雪 3/11雪後、昼頃から晴れ。3/11は風が強かった。

積雪量: 3/10は、つぼ足で全く沈まない程締まっていた。3/11は10夜から11午前中の雪で30〜50Cmの積雪。

行動記録

3/10

美しの森ゲートから全く雪の無い林道を歩き出し出合い小屋まで2.5h。沢筋を歩いた為、予定より0.5h程到着が遅かった。権現岳東稜に行く2人組と旭岳東稜に行く4人組みと入れ違う。

旭岳東稜1.jpg

予想通り林道には全く雪がない。

旭岳東稜の取付きは昨年迷ったお陰で今回は迷わずに済む。急斜面をキックステップで暫くがんばると尾根に乗る。

旭岳東稜2.jpg

東稜下部。雪が締まって歩きやすい。

予想通り尾根上の雪は締まっており、トレースもあるため大変歩きやすい。昨年の来たときの記憶からすると小ギャップまでが一区切りだ。

旭岳東稜3.jpg

小ギャップから核心部の岩峰を臨む。

小ギャップは昨年同様、少し戻ったところから右をトラバースして通過。昨年テントを張った地点の手前で一本取る。今回、「五段ノ宮に13時までに着いたらそのまま突っ込もう」と打ち合わせていたが、この辺りで「13時には間に合いそうも無いかな?」と思い始める。 その内、昨年敗退した地点である「凍った草付」が出てくる。昨年よりは状態が良いようなので、ロープは付けずに潅木頼りに力任せに登りきる。ここからは未知の領域だ。尾根は結構やせて幕営適地は無さそうに思えたが傾斜が緩く小広い場所が一箇所あった。もし五段ノ宮から引き返す場合の幕営には困らなさそうである。AOは寝不足と風邪 が抜けない為か結構バテバテでTTさんには「そんなに早く歩かないで〜」と情けない声を掛ける。逆に出合小屋までは「二日酔いか?」と思うほどゆっくり歩いていたTTさんは快調に飛ばしている。

そうこうすると、事前に調べていた雪壁が出てくる。下部はそれ程でもないが上部は相当急傾斜。この基部に素晴しい整地跡があり、TTさんは「明日が晴れならここに泊まりたいですね。天気予報見てみましょう」と携帯を取り出す。が、残念ながら日曜日は「雨後昼過ぎから晴れ」。時間は12:50。ここからロープを出して五段ノ宮基部には13:30には着くのでは?と思い、「今日中に抜けちゃいましょう」と出発。

旭岳東稜4.jpg

写真では分りにくいがかなりの急斜面。

旭岳東稜5.jpg

雪壁上部。この辺ならロープはいらなかったか?

雪壁1ピッチ目はTTさん余裕のリード。2ピッチ目AOは、1ポイント腐れ雪に手を焼くがロープ一杯でピッチを切る。TTさんがそのままロープを引きずって中間支点をとりながらの同時登攀のように五段ノ宮基部についた。結構な時間が掛かってしまい既に14:45。五段ノ宮基部はこれまた綺麗に整地されており、このまま突っ込みたそうなTTさんを「もうバテバテなんでここに泊まらせて」とAOが懇願して幕営することにした。 驚いた事に出合小屋で一緒になった4人組みがここまで上がってきた。下部にテントを張り空身で来て山頂までピストンするつもりだという。しかし4人揃った時には既に15時を回っておりガスも出てきたため潔くここから引き返すという。明日の天気が見込めない為、明日はそのまま下山するそうだ。3-4人テントを張る為に4人組みがいる時 からせっせと土木作業を重ね、立派な幕営地が完成した。辺りはすっかりガスに包まれてしまい有効視界は30m程か?あのまま突っ込んだらエライ目にあっていただろうと胸を撫で下ろす。

立派に整地したといってもテンバは細い稜線上なのでトイレに行く際は気をつけようと互い確認しあう。象足で滑らせたら権現沢までまっしぐらだ。夕食はすっかり定番となった「マーボー春雨」と新メニューの中華丼。夕食の支度をしていると雪がパラパラ降ってくる。この夜は雪のせいか余り冷え込まず、AOは軽量化の為「夏用シェラフ」で 来たが全く寒さを感じず朝まで爆睡できた。

3/11

朝起きるとテントが一回り小さくなっていた。一晩降り続いた雪のお陰で前後左右が圧迫されている。TTさんが外に出ると「何も見えません」と落胆して戻っきた。シュウマイとラーメンというおよそ積雪期バリエーションとは思えないボリュームの朝食をとってお茶を飲みながら暫し考える。「天気の悪いときに突っ込むのはヤダけどリター ンマッチはしたくない」進むにせよ戻るにせよハーネス付けて撤収しなければ始らないので撤収に取り掛かる。

旭岳東稜6.jpg

一晩で真っ白になった五段ノ宮。

撤収を終えて五段ノ宮を見ると昨日とは打って変わって真っ白になっている。昨日は泥壁のようだった左の草付潅木帯も真っ白。とりあえずTTさんがトップで岩に取付く。TTさんは五段ノ宮の直登狙い。岩の基部まで行ってハーケンに中間支点を取って様子を探っているが雪に埋まって上手いホールド・スタンスが見つからない様子。こんなTTさんを見るのは初めてだが、TTさんがこんなにも難儀しているところでは仮に上がれてもセカンドの私が登れないだろう。「無理しないで戻ってください。私が草付を試してみます」と戻ってもらい、トップを変わってAOが草付に進む。昨日ならやる気にもならないルート取りだが雪がかなり乗っているので何とかトラバースして潅木に支点 を一つ取る。文字通りアックスとアイゼンの先端を叩き込み「ダマシダマシ」登って更に支点。 ここから左上にもう少し上ることになるのだがその先は少しランナウと気味なのはしょうがないが草付というより岩とツララのミックスのように見える。果たしてアックスは打ち込めるのか?アイゼンの歯は乗るのか?と疑心暗鬼になる。「こりゃ難しいよ〜」とおおよそリーダーらしからぬ情けない声を上げアッサリ残置して戻ってきてしまっ た。かくして登攀開始から1時間強で撤退が決まった。TTさんは名残り惜しそうに五段ノ宮を見ていたが、撤退と決まればAOはさっさと撤退するのが主義。

雪壁までの細い稜線は完全にトレースが消えてナイフリッジになっている。足を置くとズルズルと雪が流れて嫌らしい。トラバースしていくのも時間が掛かりそうなのでクライムダウンして適当な潅木から懸垂することにする。昨日2ピッチ強で登った雪壁を計4ピッチの懸垂。途中この雪の中ラッセル状態で雪壁を登ってくる3人組とすれ違う。 「取り合えず五段ノ宮の取付きまで行ってきます」といった彼らはその後どうしたのか?とても登攀している時間は足りないように思えたが…。

旭岳東稜7.jpg

雪壁を懸垂下降。最近こんなのばっか。

雪壁基部まで下ると3人組のラッセル跡が残っており下山もスムーズ。草付帯ではもう一度2ピッチの懸垂下降をして後は下るだけ…のはずだったが、降雪と強風の為昨日の4人組のトレースも今日の3人組のトレースも途中から綺麗にかき消されてしまっていた。上ノ権現沢への降り口を間違えること二回。もっと下まで下らないと駄目と気付 き、無事に沢に降り立った。出合小屋に辿り着いたら12:45。撤退決定が8:10だったからここまで降りるのに4h以上掛かっている。下山としては相当手こずった方だろう。

旭岳東稜8.jpg

出合小屋までの道もすっかり銀世界。風が強かった。

出合小屋で荷物を整理して美しの森へ。昨日とは打って変わって地獄谷は一面の雪原になっている。おまけに予報通り晴れてきて春の陽気だ。クソ!残されたトレースを辿りながら歩くと行きとは違ったルートでアッサリ林道に出てひたすら平坦な道を歩く。単調で長いが確かにこちらの方が早い。「そういえば昨年もこの道だったよね」などと間抜けな会話をしながら美しの森まで1.5hで歩ききった。バテバテ。タクシーで温泉に直行して又タクシーで清里に戻り、あわただしく食事・電車で小淵沢、17:41発のスーパーあずさに乗り込み帰京した。

赤岳東稜敗退の際は「雪質が悪すぎて時間切れ」とある程度リターンマッチの目算がたっていたが、今回はなんせ「核心部が登れない」という情けない結果に終わってしまった。空身ででもとりあえず五段ノ宮を登りきっていれば次回の解決策の糸口になっただろうに少し淡白すぎたようだ。 しかし、「登れなかった岩が目に焼きついてしまっている」TTさんと「ラインは間違っていなかったんだからもう少し根性出せば草付を登れたはず」と思うAOの思惑が一致。課題を来シーズンまで持ち越すことは気持ち悪いしスッキリしないので3/24,25でリターンマッチが決定。意外と二人は粘着質なのかもしれない。(AO)