山行記録/個人山行/2006-08-12/魚野川本流

Last-modified: 2010-03-20 (土) 19:48:52 (3014d)
山域上信・魚野川 本流
日程2006年8月12日(土) - 15日(火)
メンバーL . AO、YU

コースタイム

8/12 晴れのち曇り(現地では小雨)

JR新宿駅 9:39 → JR赤羽駅 10:11 (特急草津3号) → JR長野原草津口駅 12:28 / バス停 12:37 → 13:53 野反湖バス停 → 野反湖ロッジ(泊)

8/13 晴れ時々曇り

起床 5:00 / 出発 6:10 → 登山口 6:20 → 地蔵峠 6:55 / 7:00 → 魚野川入渓点 10:00 / 10:20 → 千沢出合 → イタドリ河原の手前 11:50 / 12:30 (ランチ) → 高沢出合 13:47 → 大ゼン 14:06 / 14:35 (釣りタイム) → 黒沢出合 15:52 → BP 16:02 (泊)

8/14 晴れ時々曇り、夜半に雨

起床 5:00 / 出発 7:30 → 8:20 / 8:50 (釣りタイム) → 位魚止ゼン 9:00 → カギトリゼン 9:30位 / 10:00位 (釣りタイム) → 小ゼン沢出合 10:30頃 → ツバメゼン先の河原 10:50 / 11:30 (ランチ) → 巨岩帯 → 14:15 / 14:45 (釣りタイム) → BP 15:06 (泊)

8/15 晴れ時々曇り

起床 5:00 / 出発 8:10 → 二股 10:00頃? → 登山道 15:06 → 赤石山15:44 / 15:58 → 鉢山分岐 17:05 / 17:18 → 渋池 17:50 → 硯川(熊の湯) 18:20頃

記録

魚野川本流は、ずっとずっと行きたい沢だった。最近では行きたい沢が自分の中でどんどん増えていたので、ちょっぴり片隅に追いやられていたけれど、行ってみて本当に良かったと言えるし、オススメしたい沢です。

1日目は野尻湖ロッジに泊まり、2日目に優々と出発。登山道を4h程歩いて沢床に降り立つ。晴天で光り輝く河原に流れる千沢の水量は結構強いけど、徒渉を繰り返しながら問題なく魚野川本流へと進む。すぐに切り立ったでも木立から光注ぐゴルジュの中のとうとうとする流れの中を行く。その後も第1ゴルジュをへつったり少し泳いだりしながら通過する。順調に進んで途中の河原では太陽の下でパスタランチ。大ゼン5mでは竿を出す。短時間で見事2匹ゲットする。それまでも魚影はあったが、ここは入れ食い沢かも?とこの先も期待♪目標のテン場黒沢出合いでは2Pが既にタープを張っている。どちらも釣り師で、ここをベースに釣りを楽しんでいるようだ。私達は少し先の小さな河原に幕営。焚き火がよく燃え、岩魚料理が今宵を彩る。空には満点の星空。素晴らしい。

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    魚野川で最初のゴルジュ。光注ぐ桂カマチを行く。
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    大ゼンの釜で釣り上げた2匹の岩魚くん。

3日目は中流の核心である滝郡が現れる。さして難しいわけではないけれど、1番目の魚止めの滝は少し緊張する。小ゼン沢との出合いに位置する燕ゼンの手前では素晴らしく美しいナメ床の優雅で静かな渓相がある。多分、魚野川1番の感動ポイントではないかと思う。燕ゼンの上ではまたまた太陽の下、パスタランチ。今日のパスタはタラコだったので、その前に2匹釣った岩魚のはらわたを取る作業をしていると2匹ともメスで卵を抱えていたのでそれをタラコソースに混ぜて合えて食べたりした。その後も綺麗な渓相は続いたが、巨岩帯が現れ始めるとこれでもかと高度を上げさせられ、ちょっと疲れる。巨岩帯も終盤の抜けきって沢が屈曲した所に高台のちょうどいい幕営地がありタープを張った。この日は焚き火の付きがイマイチ。だけど、5匹も釣れた岩魚はムニエルやから揚げにしてペロリとできて至福の時だった。シュラフに入ってすぐくらいには雨がザーッと降ったがぐっすり寝てしまった。

060814 魚止めゼン.jpg
    魚止めゼン7mは左端を登る。この後、滝がいくつか続く。
060814 美しいナメ床.jpg
  燕ゼン手前では、写真のような美しい渓相が光り輝く。

4日目の今日は最後の遡行。随分と源頭に来ても、水量はちっとも減らない。まだお尻まで浸かる釜とが現れたりする。これが源頭か?とも思うような河原も現れる。それでもグングン遡ると、だんだんうっそうとしてくる。開けた所を望むがこの山域でそれはあり得なそう。そしてとうとう笹藪に突入。猛烈な笹藪こぎとは書いてあったけど…本当に猛烈なのである。多分、初心者では耐えられないのではないかと思う。1h笹藪をこぎまくって少しだけ高い木の根本に立って休憩する。そんな間違ったミスもなく方向も確かめながら来ていてもうほぼ稜線上に上がったのに登山道がない…どこに来ちゃったんだろうと不安がよぎる。とにかくもう少しあっちの方へ行ってみようかとザックを背負って出発しようとした時、藪の隙間から登山道らしき道が見える。ねぇ?あれ登山道じゃない?と言ってそっち方面へこいで行くと出た〜登山道!やっとの思いだったので、嬉しかった!!その後はまた2-3h山を歩いて志賀高原へ降りた。長い1日だった。でも高原は素晴らしく、冬にここでスキーをしたとは思えないほどすがすがしく心地よかった。それまで藪の中だったから余計なのだが。なんとか夕暮れまでには宿泊予定の宿に到着し、汗を流し5日目に帰京した。(YU)

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 源頭に行っても水量はけっこうあった。そして詰めは猛烈な笹藪!

 魚野川本流は前から行きたいと思っていた沢だが、ナカナカ機会が無かった。二泊三日の沢ではあるが交通の便が極端に悪く、車の無い身には辛い。夏休みに贅沢に時間を使って訪れた魚野川は期待に違わず、ゆったりした沢旅を満喫させてくれた。

8/13 晴れ時々曇り

 登山口から入渓点までは約4hの山歩きをする。旧草津街道ということだが結構なアップダウンを強いられる。魚野川への入渓は渋沢ダムに降りきる手前の適当な所で樹林帯に突っ込むと踏み跡や残置ロープを利用して容易に河原に降りることが出来た。

 一見、水量の少ない魚野川だが渡渉しようとするとかなりの水圧で、膝位の水量なのに足が持っていかれそうになる。スクラムを組んだりして渡渉を繰り返しながら河原歩きを20分程していると千沢が右岸から出合う。千沢を分けて魚野川を尚も進むと直ぐに最初の淵である桂カマチがある。水量が少ない為、ジャブジャブと淵のど真ん中を歩ける。穏やかな淵の中を木漏れ日に照らされて歩くのは気分が良い。

 この後、箱淵・不動コイデ・中石・金山淵と淵が連続する。水量が少ないとはいえ、流石にど真ん中をジャブジャブとはいかず、へツッたり、跳んだり、泳いだりと忙しくも楽しい。泳ぐと結構冷たい水で全身びしょ濡れとなるが日差しがあるので助かる。桂カマチからこの淵の連続を高巻く事も出来るらしいが、それでは来た意味が半減してしまうだろう。いい加減ゴルジュ・淵に飽きてきたところで河原に出たので昼飯にした。

 イタドリ河原はBPも可能な箇所がいくつかあるが側壁が崩れたところもあり、葛根田で土砂崩れに遭遇して以来、この手のところは好きになれない。更に淵と河原歩きが続くと前方に入渓後初めて滝が出てくる。大ゼンだ。YUは釣りをしたいという。BP予定地の黒沢出合には15時には着いておきたかったが、これを越えれば直ぐだし、オカズが増えるのは歓迎なので期待しないで待つことにする。すると結構短い時間で二匹を釣り上げてくれた。

 黒沢出合には先行Pが2P入っていた。1Pは明らかに「釣師」でここに泊まって三日目だという。もう1Pは黒沢出合左岸の高台に陣取っていて、こちらも沢屋とはいえない雰囲気だ。人様のタープが見えるトコでは興が乗らないのでもう少し進んで適当な河原をBP地とした。増水したら一発で浸水するが直ぐに高台に上がれるところだし、増水するほどの雨が降るとも思えないので良しとする。

 皆がこの辺にBPするので心配したが良い薪がソコソコあって焚火を楽しむことが出来た。YUの釣った岩魚2匹は一匹がムニエルに、もう一匹は唐揚になった。どちらもビールに合い美味。この夜は天の川が見えた。  

8/14 晴れ時々曇り、夜半に雨

 朝も焚火に一発着火で気分が良い。天気も良さそうだ。出発して小一時間は河原歩きが続き、幕営適地が散見される。昨日はもう少し頑張っても良かったかも。次第に釜を持つ小滝が出てきて、YUがソワソワしだす。休憩がてら釣りタイムとする。すると又二匹釣り上げた。昨日より小ぶりだ。「この沢は凄いよ。入れ食いだよ。釣師が多い訳だ」とYUはご満悦。

 少し歩くと、開けた河原からいきなり両岸スラブとなり「魚止ゼン」が高さ約7M程度の傾斜の強いナメ滝となって現れる。巻き道はどう考えても無く、登るとしたら左の側壁しかない。シャワー覚悟で突っ込めば難しくは無いのかもしれないが、取り付きまでがツルツルのヘツリでドボンしたら相当深い釜につかることになる。釜に入ったら這い上がることは大変そう。シャワークライムにならないようにスラブを登るがホールド・スタンスがギリギリでズルズルと下がってしまう。YUはロープが欲しいというので準備をしていると単独のおじさんが追いついてきた。こちらは時間が掛かりそうなので「お先にどうぞ」というと私が登ろうとした更に左をコレマタ細かいフレークを使って登っていった。なんだか正解を見せられた様で面白くない。しかし時間を掛けてもしょうがないので同じルート取りで登る。初心者がいたらやはりロープが欲しいところだ。落口にはピンがあったのでセルフを取ってUを迎える。

 この先、「カギトリゼン」の釜でも釣りタイム。右壁に釣師のものと思われロープが垂れているが、遠目では普通には登れない所だ。残置ロープは使わせてもらう主義だけど、フリーで登れない所を無理やり残置で登るのはインチキ臭いのでUが釣りをしている間に高巻きルートを偵察する。余り良くない。念の為残置ロープの近くに行ってみると、何のことはない残置が無くても十分登れる所だ。

 そんなことをしていると後ろから4人Pがやってきた。先頭のいかにもリーダーさんが残置ロープを確かめながら登っていく。後続がナンカ遅い様なので先に登らせてもらった。

 ここからが魚野川のハイライトだろう。ナメナメ・ナメ小滝、発達した岩盤が抉れて釜は深いが両側はナメを歩けて鑑賞できるという素晴しさ。そして又ナメナメ。「アラ、ヤダ〜。美しいじゃない〜」とYUはオバサン化している。ナメと河原歩きを繰り返しながら歩くと左岸から奥ゼン沢、右岸から小ゼン沢が出合う。小ゼン沢を分けた所に燕ゼンがドドーンと掛かる。右壁を巻き気味に登り、少しすると河原になっていた。日差しも良くあたるところなので少し早いけど昼飯にする。YUは朝方釣った二匹の岩魚を河原でさばく。二匹とも子持ちだった。昼飯は明太子パスタだったので、卵はパスタに和えて食す。美味。

 ここから先、庄九郎沢までも美しいナメが続く。庄九郎大滝手前の釜を持つ滝でまたもや釣りタイム。4人組みに抜かされるがしょうがない。大滝を左岸のガレたルンゼから尾根を高巻いて越えると、核心部ともいえる「巨岩帯」である。右左、上下と動きまくり、疲れがドット出るところだ。Uもうんざりした顔をしている。巨岩帯の一角に「魚止めゼン」で抜かれた単独のおじさんがBPしていて、パンツ一丁で竿と網を持って釣りをしている。庄九郎大滝(10m)を直登したそうだ。スゲェ。4人組も少し先の左岸にBP適地を確保していた。

 計画では南沢との二股まで進む予定であったが、時間的に微妙になってきた。そもそも疲れた。巨岩帯を越えきった釜でYUが岩魚を見つけ、釣りタイム。二股に行くのは無理なので、この先でBP適地を早く見つける必要がある。釣りを終えた直ぐの5M滝を左壁から越えると沢は「くの字」に屈曲しており、丁度右岸がBP適地であった。素晴しく整備されたBP地ではあるが、薪に良いのがナカナカ無くて焚火に苦労した。夕食にはムニエル2匹と唐揚2匹が上がり、今日の苦労を忘れさせてくれる。就寝後に雨がかなり降ったようで苦労して点けた焚火を台無しにしてくれた…。

8/15 晴れ時々曇り

 今朝も快晴。昨晩の雨は一体なんだったんだ。おかげで焚火が点きやしない。ショボイ焚火に時間を取られ、出発が遅くなった。今日は最終日だが、いつもと異なり下山後に即帰京では無い為気が緩んでしまっているのかもしれない。もう核心と呼べるところは全てこなしているので最後の詰めを間違わないこと。そして「猛烈な」と書かれる藪コギだけが気がかりだ。

 BP地の標高が約1600m。詰上げる稜線が約2000m。普通に考えれば楽勝だろう。しかし普通に考えれば源流域とは思えない河原が出てくる。写真を見せて「ここが入渓点です」といえば誰でも信じるような所が三日目に出てくるのである。恐るべし魚野川。

 「どこが二股か?」右岸から流入してくる沢を見る度に遡行図と地形図を見るがどうもしっくり来ない。その間にも源流域とは思えないナメ床・ナメ滝が次々に出てきて、もう呆れるしかない。途中、左岸の台地が整備された幕営地になっており、ブルーシートが張ってある。人影は無いが焚火の跡はある。釣師がデポしたものだろうか?しばらくすると3人組みの釣師に会う。「どうぞお先に」と譲られて先に進むが彼らは相当慣れた感じ。休憩していると追いつかれてしばし歓談。先のブルーシートも彼らのもので来週仲間が入渓するらしい。地元の漁協の方たちで毎年見回りかねて歩いているそうだ。この辺は庭みたいなもんだろう。「北沢を最後まで詰めるの?そりゃ大変だな」。どうも彼らは「寺子屋沢」あたりの詰め部をある程度刈り払っているみたいな口振だった。

 先に進むと流石に沢幅も狭くなり水量も減りだす。次第に小滝が多くなり傾斜も増す。それを過ぎるとドンドン藪沢の様相を表しだした。最後のつもりで休憩をとり、地形図と睨めっこをする。「どれが正解」というのは無さそうで、水量の多い方を選んでいくしかないだろう。今丁度12時。稜線に出る予想時刻は14時と踏んだ。しばらく進むと藪沢度が酷くなってきたので、水筒に水を汲む。根曲タケのトンネルを身を低く、終いには四つんばいに近い状態で進む。いい加減嫌になってきた頃、右上方が開けていて「稜線まであと僅か」の感有。根曲タケのトンネルはこの先も更に低くなって続いているようだったが、キリが無いので沢筋を外れて稜線に向けてラストスパートを掛けた。

 これが間違いだった。行けども行けども稜線には出ず、前方は根曲タケの海。左上方に進めば嫌でも登山道にぶち当たるだろうと思い、バリバリと進むが一向に登山道に出ない。しまいには明らかに稜線と思われる地点に達しても登山道が無くて、二人して呆然とする。憔悴しだして危険な状態。これで時間に余裕が無くて雨・ガスでも出たらかなりパニックっていただろう。丁度藪の中に岩があったのでその上で休憩する。もう直ぐ15時だ。タバコを吸いながら二人して地形図と磁石を振り回して首を傾げるが、全く持って理解し難い。登山道は確かに地形図上の最高点をつないで伸びている。自分達は周囲の様子からして稜線又は極めて稜線近くにいるはずで、これより先に進むと下ってしまう感じなのだが…。

 突然YUが「アレ登山道じゃない?」と言う。遠く前方に確かに登山道らしき窪みが走っている。下ってしまうことに躊躇していたが前方に向け猛然とウッキが突っ込むと3分も進まずにヒョッコリ登山道に出た。

 赤石山まで小ピークを二つ越えた事からすると随分ルートを右に取ってしまったようだ。大沼池を寄るつもりだったが、時間が無いので忠右衛門新道をひたすら歩き、鉢山の登りを倦厭して四十八池に下りるとスッカリ観光地の様相。しかし人はいない。当たり前だ17時を過ぎている。渋池を過ぎると前山スキー場に出た。夏のスキー場に来るのは初めて。誰もいない、だだっ広い笹原が夕焼けに染まる光景は二泊三日の沢旅の締め括りには出来過ぎだった。  

※今回は水量が平水に比べてかなり少なかったようですが、それを差し引いても魚野川は技術的には難しい所はほとんど無いと思います。奥秩父や谷川の2級の沢でPLをやれる人ならば問題なくPLが出来るはずです。その際他のメンバーは最低限、一泊二日の沢を数本、出来れば二泊三日の沢を一回でも経験していれば問題ないと思われます。これらは技術の問題では無く、所謂「沢慣れ」しているか否かの問題です。如何せん長い沢なので、河原歩きやチョットしたヘツリ・小滝の登りに時間が掛かる。歩く速度が絶対的に遅いと厳しいでしょう。

※帰宅して遡行記録や時刻表を見直した見解ですが、魚野川本流を詰める場合、上記の条件を満たしていれば、電車・タクシー利用で前夜発二泊三日は可能である(帰りは長野新幹線の最終近くになるけど)と思います。車利用の場合は前夜発二泊三日で小ゼン沢を詰めるのが現実的でしょう。(但し、どちらにしても黒稜の現状からすると昼食は兎も角、遡行中の釣りはしない方が良いでしょう)

※行って期待を裏切らない沢なので是非皆さんにも行ってみて欲しいと思います。但し増水時はトンでもない事になる沢なので、そこだけは注意して下さい。(AO)