山行記録/個人山行/2006-04-30/杓子岳双子尾根

Last-modified: 2010-03-16 (火) 23:24:21 (3015d)
山域北アルプス・杓子岳双子尾根
日程2006年 4月 30日 - 5月 1日
メンバーL. AO, TT

行動記録

4/29 白馬駅現地集合:

駅は最終電車の後閉めてしまうためステビバは出来ない。観光案内所の横が屋根のある休憩所?になっているため、先行で来ていたTTさんが確保してくれた。当初は樺平で1泊の予定であったが、天気予報では5/1の天気が不安定なので出来れば4/30に一気に稜線まで上がるつもりとTTさんには事前に伝えてある。

4/30 曇り時々晴れ、のち風雪 朝方は寒いが日中はそれ程でもない。夜半も冷え込みは厳しくない。

04:20起床/5:30白馬発 → 猿倉荘着/5:58発 → 猿倉台地6:30/6:47発 →

双子尾根10.jpg

出発の朝、猿倉台地から (写真提供 TTさん)

猿倉荘で水を分けてもらい出発。鑓温泉方面に向かうという山スキーパーティ(8人位)が先行していた。猿倉荘の上を登るが朝一で体が重い。TTさんはバッチリ睡眠とれているそうで軽やか。台地上で現在地と進行方向を確認するためと口実を設けて小休止。正面の尾根を登るものと思っていたが、地形図と磁石を使いながら見ると左手の沢筋上部をトラバースしながら尾根に上がる様子。カールを突っ切る感じなので「一気に素早く行きましょう」と言うものの、足が重く脛まで潜ってしまい、しばし足を止め天を仰ぐ。先が思いやられる。

双子尾根3.jpg

小日向のコル上で一本

小日向のコル上 8:13/8:38 → 樺平手前の小ピーク 9:48/10:10 →

TTさんと入れ替わり立ち代りトップを交代しながら小日向のコルを目指す。楽してスキーのトレースを使用して斜上しようとするとクラスト気味でアイゼンを履いてない足は滑りやすい。「適当に歩きやすい斜面を選んで」と、言って急斜面を直登すると小日向のコルを少し登った尾根上に出た。一本が二本になってしまいアイゼンを履いて出発。ここからは双子尾根上。先行パーティのトレースがある。ナイフリッジとまではいかないが、両サイドが切れ落ちていて少し緊張する尾根が延々続く。「ここを越えたら小休止出来るかな」と思うと又リッジ。そんなこんなで樺平の上についてしまった。樺平はwebでも必ずと言って良いほど写真が出ている素晴しく開放感あるロケーションで、当初はここに泊まって青空宴会するつもりだった。上部を見ると稜線はガスが濃い。ここに泊まるか、明日の荒天を懸念して一気に稜線まで上がるか悩むが、抜けるつもりで早出してきたので時間も早いし、とりあえずJPを目指す。ちなみに樺平は素晴しい場所だが雪崩が来たら一発の大斜面の下にある。休憩した小ピークには立派な雪洞が掘ってあった。

双子尾根4.jpg

樺平手前の小ピークでくつろぐ。右に立派な雪洞。

双子尾根5.jpg

樺平とJP方面。天候は怪しい。

2284m付近で途中休憩 → JP 13:00/13:40 →

樺平へ降りて2284mPを目指して登り返すがコレまたキツイ。JPは遥か上。2284mP付近に上がると西からの強風が吹きつける。ここから先、休憩出来そうなところも無さそうなので小休止を取り出発…した途端に強風が叩きつけてくる。「やーべーな〜。戻ろうかな。でも、もう一回ここを登り返すのは嫌だな」など思いながら進む。トップを進むTTさんがトラバースの雪が腐り気味なのを気味悪がりストップ。お互いダブルアックスになり、ワシにトップを交代して進む。トラバースが斜上になり、直登になり、登る登る、ひたすら登る。やがて記録では必ず出てくる「岩場」にでるが、雪が多すぎてどこがその「岩場」なのか良く判らん。右横が大きく陥没していて、そこは草つきなのだがそこも雪が多すぎて雪壁状。グサグサの腐れ雪をだましながら這い上がり尾根上に戻る。ここで一旦ガスが晴れ、初めて杓子岳山頂、JP、白馬岳が見える。素晴しい。だがJPは遥か頭上に見える…。ここからJPへの登りが体力的には一番しんどかった。切れたリッジではないので疲れが無ければ立って歩ける傾斜なのかもしれないが、こっちはヘロヘロで立っては四つん這い、立っては四つん這い、の繰り返しで、進む時間とゼーゼー言って休憩している時間がほぼ一緒。随分下にいるTさんも苦しそう。「TTさん〜。JPまで一気に行きます?休憩しましょうか?」と聞くと「頑張りまっす!JPまで行きましょう!」の返事。頑張るしかないか…。

双子尾根6.jpg

JP目指してガンバルTTさん。キツイ登りだったね。

JPでは強風のため初めて休憩にツエルトを使用した。これが快適。つーか、なければとても休憩できない強風だった。ガスが又出てきて、TTさん的にはここでテント張るものと思っていたそうだが、時間的には未だ余裕があるし、頂上宿舎が指呼の先に見える。ここはあと2H頑張って山小屋でビールを飲まない手はなかろう。

杓子岳山頂 14:58/15:05位 →

が、頂上目指して進み始めて直ぐに後悔した。記録上ではJPから頂上までは大したことないと書いてあるが、かなりの急斜面で本来岩稜なのだろが雪が多すぎてコレマタ雪壁になっている。ダブルアックスで進むが氷化寸前まで硬くなっているところもあり、ロープをつけずに取り付いたことを後悔した。リッジ上でトップを交代して戸高さんにフィニッシュを任せたが頂上まであと一登りでTさんはゴロンと横になりゼーゼー言っている。ピークは直ぐそこだ。でもお互いの疲労もピークだ。TTさんが一ふんばりして頂上稜線に乗りあがり「よっしゃ」の掛け声。強風に煽られながら頂上標識で握手を交わした。「やれば出来るじゃん」。

双子尾根7.jpg

杓子岳頂上。やれば出来るじゃん。(写真提供 TTさん)

頂上宿舎 17:00位

縦走路へ出て、頂上宿舎を目指す。相変わらず西からの風が強い。お約束のような登り返しに悪態つきながら進む。二つ目の登り返しを上がり最後の一つを登る直前頃から強風が半端でなくなってきてガスも濃く、有効視界が10m以下になってしまう。最後の登りは小さな雪山だが登った上でも四つんばいにならないと吹っ飛ばされそうだ。苦労して降りると頂上宿舎はガスに覆われて全く見えない。 強風は益々酷く、もはや暴風の域。最初は教科書通りに耐風姿勢をとっていたが、しまいには植生保護のロープ用(?)クサビにしがみついてしゃがみ込まないと転がってしまいそうになる。狂った様に吹き付けてきて、不謹慎だが「そこまで無理やり吹かなくても良いだろうに」と笑ってしまうほどだ。ほんの僅かに風が弱まった隙をついてダッシュ。又しゃがむ。の繰り返し。後方のTさんが時々見えなくなり焦る。ガスがホンの一瞬薄らいで頂上宿舎の位置が分かったのでストップ・ダッシュを繰り返し宿舎へ駆け下りた。

しかし、馬鹿でかい宿舎のどこを探しても入り口が無い!人の気配も無い!そんなはずは無かろうと二人してグルグル回るがどこからも入れそうに無い。要するに営業していない事に気付いて呆然としてしまった。

このときの時間が17時。「上の小屋に行く?」と念の為にTさんに聞くが「ここにテント張っちゃいましょう」との答え。「渡り廊下?」が屋根になって良かろうとテントを苦労して張った。 トイレに行くのも嫌になる暴風雪で酒も飲まずに20:30頃 就寝。

5/1 ガス・強風、後小雨 気温自体は低くない。

08:30起床/10:37発 → 大雪渓の降り口がガスで全く判らず、白馬山荘へ逃げ込む

明け方から目は覚めていたが、相変わらずの強風に起きる気がしない。少し外を除いても「真っ白」で何も見えない。そんなこんなを繰り返していたが狭いテントにデカイ男が二人していると窮屈だ。もぞもぞと起き出してお茶・食事を採るがワシのタバコが昨晩テント入りしてから全く見つからず、落ち着かない。テントを撤収している際に銀マットの端の下から見つかった。TTさんは心優しく「中で一服して下さい」とのこと。お言葉に甘える。

ザックを包んで外に出していたツエルトは昨晩吹っ飛ばされ行方不明になっているので諦めた。

頂上宿舎上の標識の所まで戻り、大雪渓を目指す。が、ワシもTさんも大雪渓を登ったこともなければ下ったこともない。要するに白馬には夏山含めて行った事がないのだ。ガスで視界が10mとなく、トレースも昨夜の風雪で無くなっている中、大雪渓への下降点に自信が持てない。大雪渓をトラバースしすぎて変なところに出たらどーしよう とか。5分も歩かない内に「上の小屋まで戻って様子を見ましょう」ということになった。白馬山荘までは傾斜もゆるく標識から15分も掛からない。こんなことなら昨晩もう一踏んばりすれば良かった…。

白馬山荘 12:30 → 大雪渓下 13:43 → 猿倉荘 14:38

山荘に入りマッタリしていると白馬主稜を越えてきた二人が入ってきた。あの強風の中、主稜を登ってくるとは恐れ入る。小屋番さんに大雪渓の下降点を訪ねるが「頂上宿舎を右手に見ながら適当に降りていけば大雪渓」と、判った様な判らない様な答えだ。

5/3夜には春合宿に向け出発する関係上、何としても今日のうちに帰宅したいので暖かい小屋が名残惜しいが出発する。

標識から小屋を右手に見て(実際にはガスで全く見えない)、ヤケクソ気味でズンズン進む。昨晩の雪でかなり潜る。その内、スキーのトレースらしきものを見つけ勇気づけられる。足跡もチラホラ見え出した。今朝方白馬山荘を下山した人たちのものだろう。

下りだしは相変わらずの強風とガスだったが、下るに連れ視界が利くようになり風も無くなる。小雪渓を下りきる頃には側壁がバッチリ見えるようになる。「雪崩が怖いから、休憩なしに下まで一気に降りちゃいましょう」とTTさんには言うが、一気に降りたくてもズブズブと膝まで潜ってしまい、全くスピードが出ない。大雪渓下部にくると側壁に亀裂が入っているのが良く判り、雪崩の跡も彼方此方に見える。大いに焦るが、下から呑気に登ってくる山スキーヤーも居たりする。ワシならこんなトコをこんな時間に登るのは絶対にお断りだ。 白馬尻で一服していると小雨が降ってくる。全く、最後まで天気に恵まれない山行だ。猿倉山荘まで惰性で歩き、下山連絡をして、タクシーを呼び、待っている間にビールでささやかに乾杯した。山荘のテレビでは針ノ木雪渓で雪崩事故が報じられており、自分達がつい今しがた下ってきたルートを思い出しながら良かったね〜 と胸を撫で下ろした。

装備

シェラフ:ワシはダウン量180gのサマーシェラフ+厚手ゴアのカバー+防寒着+エアマットで寒くなかった。この辺は個人差があると思う。シェラフは外国産の結構いい奴です。

ガス:冬季用大1が半分以上余った。上記の通り酒も飲まずに寝たので…。

食事:夕食はアルファ米とレトルト中華丼、スープ。朝食は中華三昧+チャーシュー+味付け卵。

テント:ABさんから借りたゴアライズ2-3人用。阿弥陀南稜でも感じたがバリエーションとはいえ、男二人でこのテントは狭すぎる。何とかせねば。。。

反省点

樺平でハーネスを装着すべきだったが、全くその気にならずそのまま登ってしまった。結局ロープを出さずに済んだが、状況次第では当然ロープを出す必要があったと思うし、そのときになってハーネスを付けていたのでは遅すぎるし、危険。

樺平から先に進む際、「とりあえずJPまで行きましょう」的なノリで突っ込んだ。JPでも幕営は出来るとの判断であったが、天候が悪い中JPでの幕営は進退窮まってしまう恐れがあり、樺平でストップするか行くなら一気に稜線を抜けるかキチンとパートナーと相談した上で突っ込むべきであった。

当初「双子尾根なんて行けて当然」と驕りがあったと思う。又、過去春山(GW)で悪天につかまった事がなく、二重に慢心があったのかもしれない。TTさんという馬力のあるパートナーに恵まれたおかげで良くも悪くも大変充実した山行になった。来シーズンも練習を重ね、基本的な技術と経験を積んでGWの北ア・バリエーションに挑みたい。