山行記録/会山行/2010/春合宿/北アルプス剱岳周辺・八ッ峰主稜

Last-modified: 2010-05-17 (月) 22:16:06 (3010d)
山域北アルプス・剱岳
日程2010年 5月 2日 - 5月 5日
メンバーL.K村、こーさか、グレ子

コースタイム

5/2 信濃大町(05:30)-(08:30)室堂(09:29)-(13:06)剱沢キャンプ場
5/3 剱沢キャンプ場(05:30)-(06:14)長次郎谷出合-(07:16)I・II峰間ルンゼの取り付き(07:41)-(09:13)I・II峰間のコル(13:15)-(17:22)V・VIのコル
5/4 V・VIのコル(06:16)-(10:27)池ノ谷乗越-(12:06)剱岳山頂-(15:13)早月小屋 5/5 早月小屋(06:15)-(08:51)馬場島

記録:

5/1 ムーンライト信州は網棚を確保するために新宿から乗車。車内では2時間くらいしか眠れなかった。 5/2 室堂までの移動はまとまって休む時間が無くて疲れる。途中でスパッツを失くしてしまったけれど、室堂で無事に回収することが出来てひと安心。北原さん、雅美さんと別れ、軽装の観光客に混ざって雷鳥沢へ下る。それにしても板を担いだ人の多さに驚かされる。テント村を過ぎ、別山乗越への登り返しでK村さんのペースが落ちた。雪訓の時から心配だったけれど兎に角頑張って頂くしかない。
別山乗越からはさすがに雪道の下山で楽々。剱沢キャンプ場は雪ブロックを築いた立派なテントが幾つも張られていた。こちらも停泊スキー組が多そうだ。雪が固く、スノーソーを持たない私達は壁を作るのが難しく、適当に整地してテントを張った。ビールを小屋で調達して、さぁ外宴会、と思ったら寒がる二人は早くもテントに。初日はハイキングオンリーなんで食事は宴会メニューで水炊き風鍋 - でも量が多すぎた。前夜の睡眠不足もあって早めに就寝。

5/3 3時起床は遅すぎ。出発5時半は更に遅すぎ。もう山ヤはみんな出払ったテン場を後にして剱沢を下る。I峰とII峰が顕著な源次郎尾根を末端から見上げると、尾根の右側のルンゼルートには数人が取り付いていた。さらに少し下り、次の大きな沢が長次郎谷、右側に聳えるのが八ッ峰主稜。天気が良く、熊ノ岩やV・VIのコルが確認出来る。I峰はどれ?と悩むが、長次郎谷を見上げた正面に登れそうな傾斜のルンゼが確認出来た。あれだろうってことで行ってみることに。一応、右手を注意して行くが、切り立った壁の雪は落ち、とても登れそうに無い。さて高度計読み2,220mの取り付きに到着すると、更に右にルンゼがあり、先行パーティーが登っていた。コルの手前には顕著な三角形の岩峰があり、数年前にV・VIのコル敗退したグレ子さんは憶えていた。7:35の無線はさすがに繋がらない。先行を追って取り付く。

1-2_gully.JPG

(写真中央のピナクルの左に登る)

雪はまだ固く、傾斜が強くなるとトレースは浅くなる。アイゼンの前爪だけでカツカツ登らされるので時間を掛ければそれだけフクラハギを消耗してしまう。足をフラットに置けそうな箇所を探し、そこまでは一気に駆け上がる。そしてレストレスト。安定して待つ場所なんて無いので遅れだした二人に構わず黙々とコルを目指す。
下から見たときは先行者がスタカートのような動きになっているのが理解出来なかったけど、恐らく上部で消耗してしまったメンバーのためにステップを切っていたように思われる。「ある意味核心」と言われるイントロのルンゼはやはりキツかった。
さてコルには9:13に到着。2番手のグレ子さんの姿はまだ見えないので、テン場で済ませていなかった用を足す。9:35の無線交信はノイズが酷くてまたまた不発。
1時間を過ぎた9:16にグレ子さんが登ってきた。K村さんはまだかなり下。そして...次にルンゼを覗き込んだ時にはK村さんの姿が無い。疲れるけれど難しい箇所ではないから落ちるとは考えにくいし、落ちたら長次郎谷まで止まらないだろう。救助方法のこと、自分達の脱出のことなどをグレ子さんと話し合いながら悶々とした時間を過ごす。11:35の無線交信を行ったら剱沢に下りてきた山科さんPと連絡が取れたので状況を伝える。自分達は幕営装備も全てあり此処も安全だからということで待機して、1時間後に連絡となった。
そして15分も経ったろうか、ルンゼの中に登ってくるK村さんが現れた。次の無線交信には間に合わず、その時には自分の見積もりでは今日は此処に泊まり、明日はV・VIのコルからエスケープだろうと伝えた。
しかしK村さん、到着してみると至って平静。途中で3回の休憩を取っていたそうな。計画は予定通り続行とのことで先へ進む。

from_1_2.JPG

(I・IIのコルから望む八ッ峰)


climb_down1.JPG

(クライムダウン中)

コルからはバケツトレースを少し登って1.5峰から早速懸垂。II峰、III峰、IV峰とトレースを登っては懸垂でIV峰まで来ると、VI峰への急な登り返しと急斜面のトラバースについたトレースが見える。先頭のステップを切ったパーティーは、それを追っている自分達とは別次元の苦労と楽しみを味わったことと思う。

route2.JPG

(この日の雪稜は美しかった)

V峰の懸垂は、ガイドブックでは長次郎側に40mで二回とる。50m一回でいくかもとのことで自分が先頭で降りて行って、残置が(壁を向いて)左手に残置を2箇所見送るとロープが下まで届かない。更に本来はカンテをVI峰側に回ってゆくところを、ルンゼ状を下まで行こうとしてしまった。途中の残置まで降りてきて貰い、ロープを落とす向きを変えてコルに下りた。

from_V.JPG

(V峰から懸垂 - ロープの垂れているのとは反対側に降りる)

コルにはブロックで囲われた丁度良い幕営跡があり、この中古物件を有り難く使わせて頂く。

5/4ガスが掛かって遠景の利かない中を出発する。昨日のステップはばっちりと残っており、また昨日の午後より固まってもいるので歩き易い。傾斜のキツいVI峰への登り返しをダブルアックスでサクサクと上がる。

to_VI.JPG

(早速の急斜面)

平らな小ピークには(Dフェースの頭?)からの下りにはスノーボラードが作られていて、他に支点はない。後で分かったことだが、これは二日前に掘られたものだった。暫く悩んだ後、念のために土嚢袋で支点を作成する。全体重は預けず、クライムダウン気味に下降。

to_VI_2.JPG

(Dフェースの頭から降りて)

短いナイフエッジで後続のガイドPと入れ替わったがVI峰の山頂でまた先頭を替わる。VI-VIIのコルへは残置で懸垂。VII峰ピークからは残置の土嚢でやはりクライムダウン気味。ナイフエッジが続くが固いトレースと穏やかな天候に助けられて順調に進む。右手のチンネが美しい。
八ッ峰の頭から残置で懸垂した後、スリングが細かったようでロープの回収に苦労した。そしてテントが残ってある池ノ谷乗越にて八ッ峰終了。あとはビールを求めて早月小屋まで。視界が悪く、山頂の祠は行過ぎてしまった。早月尾根は懸垂2回、腐り始めた雪を崩しながら小屋へ降りた。大日岳に登ったパーティーと終始無線が繋がったのが心強かった。

5/5 晴天の元、後ろ髪を引かれる思いで早月小屋を後にする。2年前より雪が多く楽に降りられる。1,650m付近の急な斜面で滑落してしまったがすぐのテラスで停止。その後も3人それぞれのペースで下り、自分は先行のトレースに引っ張られて松尾平の近くまで一度降り、20m登り返して夏道に入った。駐車場で再会した蝸牛Pは、夏道には上がらずに降りきれたとのこと。タクシー待ちの間にテントを干し、アルプスの湯で汗を流して富山から帰った。

気象条件はこれ以上にないくらい恵まれた。GW後半ということで今回もトレースに助けられてしまったが、自分が先行出来るかと考えると微妙。もうすこし易しいルートで修行を積まねばと感じた。(こーさか)