山行記録/会山行/2006/雪上技術訓練/赤岳主稜

Last-modified: 2010-03-16 (火) 23:24:31 (2902d)
日程12/9-10
メンバー(登攀P別)L.TU-KJ、L.KM-UY、L.OA-TY
ルート美濃戸〜行者小屋BC、赤岳主稜

記録

赤岳主稜に行ける雪訓。Tリーダーのメニューに私は喜ぶ。3年前くらいに初めて経験した初級者向け冬季の雪稜・阿弥陀北稜では、技術も精神も整っておらず当然のことながらきゃ〜ぴ〜叫ぶような恐ろしさで参ったことがある。あれから岩稜帯が出てくるような雪稜と呼ばれるものには手を出していない(出したくなかった)。しかし最近は日頃多少のトレーニングをし、自分の中でも今までとは違った山に対する意欲がやっと出てきた。今回は、「赤岳主稜に挑戦したい!」と心から思えエントリーした。

12/8(金) 私はKさんの車で所沢から小淵沢に向けて出発した。今回、主稜ではKさんにお世話になる。出発前、「Kさんがオールリードでしょうか?」と、生意気にも私も少しリードしたいですムードを含ませ確認したところ、「いや、Uちゃんができそうなところはやらせるよ。」の言葉に喜ぶ。 仮眠は小淵沢道の駅でとる。KJ・KS車のメンバーも揃うと総勢11名となり、アライエアライズの6-7人用テントで恒例の前夜祭を30分〜1時間行う。私は早くから着いていたので、結構飲んだ。まぁ明日は行者までだし、と少し余裕をかましてしまう。

12/9(土)曇り時々みぞれのような雪? 6時起床。天気は予報どおりよくない。でも思ったほど寒くない。道の駅で朝食を済ませ、共装の荷分けをし出発。下は全然雪がなく凍結もないので、美濃戸まで車で入る。1hの歩きを省略できるのはありがたいこと。 しかし、荷が、重い…。10人分の共装も結構な量で分けてもそれなり。その上、登攀具が入っているので、結構な量だ。登攀するのって体力にも十分な蓄えが必要。そして冬季登攀山行となれば全てを求められると改めて思った。 初めは雪のない登山道を行者小屋に向けてくてく歩く。全然雪ないね〜と、ちょっと不安になる。でも前情報では、赤岳周辺にはそれなりに雪があると聞いているからまさか大丈夫だろうと進む。すると途中から道が白くなってゆき、沢を渡る頃には冬山ムードと化してゆく。行者の手前では完全な雪道となってほっとする。 3h程で行者小屋に到着。すぐにテントを設営し、その後は雪訓場所を見つけに文三郎尾根へと歩き出す。進めど、雪訓に適した斜面はない。仕方なく、階段が始まるあたりの登山道の斜面を失礼ながら拝借し、雪訓を行う。文三郎尾根ピストンPはAパーティーリーダーを中心とし、主に歩行技術訓練を、主稜PはTパーティーリーダーを中心にザイルワークを行う。

[技術訓練] ザイルワークでは支点形成を一人ずつ行う。私は、基本的な支点作りやビレーの仕方はわかっていても雪稜となると経験も浅いので不確か。アルパインともなるとアンカーに使用するものなどは、状況次第では臨機応変に対応できなくてはならない。しっかりしたボルトが必ずしもあるわけじゃない。その辺りを今一度、確認してザイルワークを行った。 それが終わると、スタンディングアックスビレイやちょっとだけ滑落停止訓練を行ったが、場所もせまく雪もちらちら降ってきてしまったので頃合いを見計らって終了し、テン場に戻った。

支点形成.jpg

鉄網階段?でアンカーを取り、支点形成をする。

テン場に戻ると宴会の始まり。1つのテントで10人で宴会なんて久しぶりで楽しい。山の話やらなんやらで盛り上がった。夜の食事当番だった私はビーフシチューを作った。ビーフシチューは同じ材料の同じルーで2鍋(5:5)作ったが、一つの鍋には赤ワインを多く入れたためにコクのあるお店屋さんのような味わいに出来上がりびっくり。これからは家で作る時もワインを多く入れてみようと思う。 早めの宴会のおかげで就寝も8時と早めにとる事ができ睡眠時間もそれなり。前夜の寝不足が解消されたのではないだろうか?

12/10(日)曇り一瞬?晴れ間あり 4時起床、6時出発を目標に、主稜Pから朝の食事と準備にとりかかる。取り付いたら最後?飲食はほぼ不可能だと聞いていたので、朝はYTが作ったおいしい豚汁を多目に頬張る。ごはんが終わると皆サクサクと出発準備に取りかかる。アイゼン付けてガチャ付けてメットもかぶっていざ出発。天気はガスっていてかなりイマイチだったけど、回復に向かっている予報だったので、途中でパーっと晴れるだろうと期待していた。

朝の中岳.jpg

文三郎を登っている時に少しだけ顔を見せた朝日に美しい真っ白な中岳。

[実戦登攀] 主稜は、文三郎尾根の途中から左斜面をトラバースして取り付きに向かう。途中、大学生3人組に追いつかれたので、先を譲る。しかし、取り付き地点が両Pともイマイチわからなくなってしまって少し迷う。ガイド本のコピーと照らし合わせたりして、あの岩と岩の間に石が挟まっているのが見えるいわゆるチョックストーンが取り付きじゃないか?という事で話がまとまり、大学生Pからトラバースを開始する。 黒稜も3Pが順に続く。しかし、そうサクサクと進む訳ではない。渋滞が起こる。トラバースの途中で待たされ、取り付きで待たされ、結局6時過ぎにテン場を出発しても1ピッチ目に取り付いたのは9時になっていた…。仕方ないけれど、なんといっても寒いのだ。

取り付きへのトラバース.jpg

ガスっていて見えずらく探すのにちょっと時間がかかった取り付きへのトラバース。

登攀ピッチの切り方はPによって異なるが、私とKさんPは計8ピッチで登攀したと思う。とは言っても、ちゃんとビレイしたのは6ピッチ目までで、最後の7・8ピッチは雪面のみだったので、ほとんどコンテ状態だった。私の感想では、1ピッチ目の最初のチョックストーンの乗越えと、主稜の核心と言われる(私達では5ピッチ目に当たる)ピッチの出だしとその奥の岩と岩の溝状になっている所が少し厳しく、リードだったら怖いだろうと思った。自分も少しだけリードさせてもらったが、そこは緊張ながらも結構楽しく登れた。

核心ピッチ入り口.jpg

私には、いかにも核心ピッチ的な岩稜が出てきたなって感じに見えた核心ピッチの入り口。

山頂小屋へ着くと、上ではTちゃんがお疲れ様〜と待っていてくれた。時間は12:40頃だったかなぁ?渋滞やら割り込みに出くわし、一時は時間切れ撤退も考えられたけど、無事登攀を終了し、山頂まで行けた事にこの上ない充実感を得られた。

上部の雪面.jpg

核心を抜け、上部の雪面。先をゆく単独の方。

私達より先には尾根Pも登頂したというので、行者小屋で会える。みんなと合流できた時は嬉しかった。撤収もしていてくれて本当に感謝であった。ありがとうございました。 そして最後、順に美濃戸へ下山した。その下山道はうっすら雪で滑る滑る。ここがまさに核心ではないか?!と皆口を揃えて言っていた…(^^ゞとにかく皆無事下山で何よりだった。

美濃戸より阿弥陀岳.jpg

美濃戸の駐車場から見えた阿弥陀岳。美しくかっこいい。

今回の雪訓では、基礎訓練と実戦の両方を合わせ持つ、充実したものになった。それは、とてもいいことだと思う。なんてったって実戦経験がものをいう山登り、闇雲に実戦すればいいってもんでもないけれど、歩けて登れてなんぼの世界だから、嗜好する山行に合った訓練やその初級ルートの実戦をシーズン初めにやっておく事で、自分の強弱や装備の点検もできとても役立つと思った。ただ今回は、赤岳ピストンPには多大にお世話になってしまい、嗜好別の山域別(合宿P別とか)という選択肢もあったかと思った。 個人的に、登攀に関しては初心者の私。正直不安も結構あったものの、それに反して楽しく面白かったと思えたことが何よりの収穫だった。主稜を経験して、やはり今シーズンは少し踏み込んだ雪山を経験したいと思った。(UY)